終活でエンディングノートを書くときの注意点

終活の整理帳として様々な情報をまとめておけるエンディングノートは、とても便利です。ところが書く内容によっては、かえってトラブルを招くことも少なくありません。終活でエンディングノートを書くときに注意したいポイントを紹介します。

エンディングノートに法的効力はない

エンディングノートと遺言書の違いについてご存じでしょうか。エンディングノートは書き方に成約がないため、日記帳感覚で自分の希望や考えを自由に書くことができます。

しかし遺言書のような法的効力はないので、書いたことが必ずしも実現されるとは限りません。エンディングノートに遺産の分け方を書いたとしても、自筆証書遺言として認められなければ、この記載を巡って遺産分割協議がスムーズに進まない可能性があります。

自筆証書遺言の条件を知った上で記載することも可能ではありますが、民法968条2項による加除訂正の方法は厳格であり、「遺言として有効か否か」で揉めてしまう可能性が高いのです。

書く前に家族や親族と話し合う

エンディングノートは金銭以外の内容だと気軽に書いてしまいがちですが、所有品の中には宝石や着物などの高価な品が含まれている場合があります。この品の形見分けを巡って親族間の争いへ発展するケースも少なくありません。形見分けはあくまでも慣習なので、遺言書ほど神経質になる必要はありませんが、金銭価値が高いものが含まれているとトラブルの原因となる可能性があります。思い出の品ひとつでも、家族の意見を聞いた上で書くのが望ましいと思います。

また葬式や供養に関して、家族葬や散骨の希望を一方的に書くのも避けたほうが良いでしょう。新しい風習は家族が了承しても、親族や知人には受け入れられない可能性があります。家族や親族としっかり話し合い、後々混乱が生じないよう配慮しましょう。

法律が絡む部分には触れない

終活におけるエンディングノートは、その特徴を把握した上で活用することがポイントです。財産について希望があれば、別途正式な遺言書を作成しましょう。公正証書遺言を書くことを前提とし、その補足的な資料としてエンディングノートを活用するのです。

例えば、終末期の過ごし方、供養に関する希望、家族へのメッセージなどを記入します。法的効力がないとはいっても、本人の希望がそこに記されていれば、わだかまりが生じることになりかねません。相続の希望はあくまでも遺言書に記載し、エンディングノートでは法律が絡む部分に触れないようにするのが得策です。

大分県大分市にあります当事務所では、遺言書やエンディングノートの作成に関するご相談を承ります。財産目録や遺産分割協議の準備についてもご相談ください。行政書士が大分での終活を万全にサポートさせていただきます。